2011年10月30日日曜日

白川郷を訪ねて

先日、日本で文化遺産としては4番目に登録された世界遺産として知られる、岐阜にある白川郷合掌造り集落を訪ねた。かなりの数の観光客でごった返し、ゆっくり見学するという訳にはいかなかったが、県指定重要文化財が九棟が残る「合掌造り民家園」は落着いて見ることができた。

桂離宮の名を世界に広めたドイツ人建築家のブルーノタウトは、自著「日本建築の基礎」で白川郷を「これらの家屋は、その構造が合理的であり論理的であるという点においては、日本全国を通じてまったく独特の存在である」と評しているが、はじめて見た時には本当に驚いたに違いない。掌を合わせたような形から合掌造りと命名されている工法は、日本でも他では見られず、その大きく存在感を持つ屋根が何棟も連なる姿はあまりにも壮観である。

建物は南北に通る谷に合わせ、それに沿うように南北に配置されている。これは、谷を吹抜ける風に対して一番小さな壁面を南北に向け風の影響を減らし、屋根全面に日差しを得るためであった。そして、雪下ろしの作業軽減や多雨地帯の水はけを考慮し、あのような急勾配になっている。また、養蚕や和紙漉きなどの家内工業を有効に活用するために、入母屋や寄棟とせず、屋根裏空間を最大限にとれる切妻を採用している。

一つ一つが理にかない、自然に逆らわず、自然と共に「共生」しようとする先人の知恵はいろいろな事を私に教えてくれる。紅葉が始まりだした木々と茅葺き屋根は、文字通り自然と一体となった姿となり、初秋の一日を楽しませてくれた。

今度は雪のある季節に訪れてみたいと思う。


















屋根が地面につきそうになっている写真左の建家は、火事や災害で家を失った人の仮設住宅であったらしい。
中は竪穴式住居にようになっていた。








































鳩谷八幡神社



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